リエヴィト・マードレ保護協会がイタリアで発足

パネットーネ、パンドーロ、ブリオッシュなど、イタリアの発酵菓子はリエヴィト・マードレ(自家培養発酵種)なくしては作ることができないと言われています。しかし、本来パンなど発酵させて作るものはすべてリエヴィト・マードレがベースでした。技術が進化し、リエヴィト・ディ・ビーラと呼ばれる安定した酵母(サッカロミセス・セレビシエ)が普及して以降、リフレッシュメントなど手入れを必要とするリエヴィト・マードレは次第に使われなくなり、ごく限られた発酵菓子にのみ用いられているのが現状です。また、“手作り”(アルティジャナーレ)と表示されているパンや発酵菓子でも、リエヴィト・マードレをベースとしているのかどうか消費者にはわからないのです。

そうした状況を改善するため、このほどリエヴィト・マードレを保護する協会が発足しました。正式名称、Consorzio di Tutela del Lievito Madre da Rinfresco(リフレッシュメントを必要とするリエヴィト・マードレ保護協会)は、ミラノのカットリカ大学ビジネス&ソサエティスクールをパートナーに迎え、リエヴィト・マードレを巡る文化の発展、さらにヒトと食品と環境の関係について考える活動を開始すると発表しました。協会会長にはアンナ・サルトーリ(「パスティッチェリア・サルトーリ」)が就任、記者会見では次にように述べています。

「この協会は個人や製品を守るのではなく、共通の理念に基づいてリエヴィト・マードレの使用を保護し、発展させることを目的とします。ただ、リエヴィト・マードレを扱う方法はさまざま、多岐に渡ります。そこが製造者、消費者にとってはわかりにくく、混乱を招いているのも事実です。現在、イタリアで作られる粉をベースとする発酵製品のおよそ半分は手作りですが、リエヴィト・マードレを使っているのは全体のわずか3%にも達していません。協会では明確な基準を示し、監督していくことで、正しい発展につながると考えています」。

協会が定める基準では、リフレッシュメントを必要とするリエヴィト・マードレのみを使用した発酵製品を保護することを目的とし、協会に所属するメーカーにその基準の遵守を求めていくとしています。さらに、イタリア内外の消費者への啓蒙、ベーカーや菓子職人への技術支援も行っていく予定です。この協会は、リエヴィト・マードレとパネットーネのマエストロ・アカデミーとも連携し、発足メンバーにはアカデミーに参加しているマエストロ17人が名を連ねています。

ロンバルディア州
Anna Sartori (Pasticceria Sartori)
Mario Bacilieri (Pasticceria Bar Cioccolateria Bacilieri dal 1986)
Emanuele Comi (Pasticceria Comi)
Grazia Mazzali (Pasticceria Mazzali)
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州
Antonio Follador (Panificio Follador)
Luca Diana (Diana La Pasticceria)
ピエモンテ州
Fabio Ciriaci (Gusto Madre)
ヴェネト州
Renato Bosco (Saporè)
Davide Dall’Omo (Pasticceria Davide Dall’Omo)
Denis Dianin (D&G Patisserie)
Daniele Lorenzetti (Pasticceria Lorenzetti)
エミリア・ロマーニャ州
Ivo Corsini (Forno Corsini dal 1875)
トスカーナ州
Paolo Sacchetti (Pasticceria Nuovo Mondo)
アブルッツォ州
Angelo Di Masso (Pasticceria Pan dell’Orso)
カンパーニア州
Salvatore De Riso (Sal De Riso)
Giuseppe Pepe (Pepe Maestro Dolciere)
Carmen Vecchione (Dolciarte)