イタリア人にとって、パネットーネはクリスマスを祝うお菓子。

その名は「大きなパン」という意味で、

バターや卵、ドライフルーツをたっぷり使った発酵菓子です。

11月も終わりに近づく頃になると、

イタリアの街にパネットーネが姿を現します。

ベーカリーやお菓子屋さんのウインドウにパネットーネが並び、

スーパーや食料品店でもパネットーネが山と積まれます。

ラッピングペーパーもボックスもリボンも色とりどりに

飾り付けられたパネットーネ。

発祥の地ミラノの伝統と言われる、

レーズンとオレンジピールを混ぜ込んだクラシックタイプから、

さまざまなフルーツやナッツ、チョコレートを練りこんだもの、

シロップに浸したもの、クリームを詰めたもの、

あるいはパルミジャーノ・レッジャーノやサラミを使った塩味のものまで、

そのバラエティは無限ともいわれています。

「パネットーネはあのお菓子屋さんのものが美味しい」

「今年はあのパネットーネを取り寄せよう」などと

パネットーネを巡って、人々の心も浮き立ちます。

親しい友人やお世話になった人への贈り物に

パーティへの手土産としてもパネットーネは大人気。

12月はどの家もクリスマスツリーの近くなどに

いくつものパネットーネを並べて、

クリスマスから16日のエピファニーの頃まで

パネットーネを楽しむのです。

エピファニーが過ぎても、パネットーネは少しだけ残しておき、

23日の聖ビアジオの日に最後のパネットーネを食べると

喉を守る聖人ビアジオのおかげで、風邪を引かないとか。

ミラノに昔から伝わる風習です。