コロンバ・テイスティングレポート「イル・ジュスト・インパスト」

ロンバルディア州ヴァレーゼ県にあるパスティッチェリア「イル・ジュスト・インパスト」から届いたコロンバをテイスティング。そのレポートをお届けします。
コロンバは、復活祭の発酵菓子で、スローフード協会の伝統菓子ガイド「L’Italia dei Dolci」によると、紀元570年頃、パヴィアを侵攻したしたロンゴバルド族のアルボイーノ王の残虐行為を鎮めるため、当地のパン職人が鳩の形をした甘いパンを献上したのが始まりと言われています。伝説通りであるならキリスト教とは直接関係がないのですが、鳩はキリスト教における平安をもたらす精霊の象徴であることから、20世紀前半にパネットーネを商業的に成功させた製菓会社モッタのアンジェロ・モッタが、イタリア料理アカデミーの創設者であり広告戦略に長けていたディーノ・ヴィッラーニと共に復活祭のお菓子として宣伝。今では復活祭のお菓子といえば全国どこでもコロンバが作られるようになりました。
作り方はほぼパネットーネと同じ。ただ、レーズンを使わず、オレンジピールだけを生地に混ぜるのが伝統です。また、表面にアイシングを施し、イタリアでグラネッラと呼ばれる粒状の砂糖とアーモンドを散らします。

Tasting Memo

名称:トラディショナル・コロンバ
メーカー:イル・ジュスト・インパスト Il Giusto Impasto
原材料:小麦粉、オレンジピール(semi cantita)、バター、卵黄、グラニュー糖、水、リエヴィト・マードレ、パスタ・アグルーミ、アカシア蜂蜜、バニラ、塩、モルト
重量:約1000g
試食日:2021.02.28 賞味期限:2021.03.09(製造2021.02.06)

①見た目
色:こんがりとした焼き色、黄金色。内側はしっかりとした黄色。
気泡:縦長の気泡がはっきり見える。大きめの穴もいくつか。
砂糖漬けフルーツ:1cm角のオレンジピール。さほどたくさん入っているようには見えない。

②香り
新鮮さ:製造日から三週間経過しているが、鮮度は保たれている。
発酵種:表面からは感じられずカラメル香の方が強かったが、内側は乳酸菌の香りが確かにある。強すぎず、弱すぎず。
砂糖漬けフルーツなど:強すぎず弱すぎず。

③触感
柔らかさと弾力性:ばさっとした触り心地。押すとすぐに戻る。柔らかいが、しんなりした感じではなく、真新しいスポンジのよう。
繊維:綺麗に繊維状に裂ける。

④味わい
柔らかさと口どけ:水分が少ないと思うのは一瞬で、たっぷりの空気を含みつつしっかりとした存在感がある。もったりとせず、口溶けは非常に良い。
甘み・鹹味・酸味のバランス:バランス良。バターの感じもある。オレンジの酸味、塩味もほのかに感じられる。

⑤全体評価
口に入れた瞬間、ばさっとした反発を感じ、しかし、すぐに馴染んで解ける。食べ疲れず、次を食べたくなる。良い発酵種と良い発酵、という印象。とても香りのいい空気を口いっぱいに含んだような。また余韻が長い。アイシングの甘みはしつこくなく程よい。