イタリアで星付きシェフたちのパネットーネ競演、開幕

コロナ第三波に苛まれているイタリアですが、クリスマスに向けて、パネットーネの発売を告げる声が各地から聞こえてきます。自由に外出することもままならない今、オンラインショップはいつにも増して大盛況。パネットーネファンもどれにしようかと画面とにらめっこする日々です。そのなかでも注目したいのは、星付きシェフ(とそのレストラン)が手がける、イノベーティブ系パネットーネ。今年は誰がどんなものを出してくるのか、比べて見るのも楽しいものです。

ミラノの「リストランテ・ベルトン」からは、さすが発祥の地だけあって、クラシックなミラノ伝統タイプ。リッチでありながら、長時間発酵によって軽く消化も良いパネットーネを実現したとのこと。使用している材料は小麦粉00タイプ、バター、水、サルタナレーズン、砂糖漬けオレンジピール、砂糖、卵、はちみつ、塩、バニラと、ミラノ伝統パネットーネの規範を忠実に守っています。もちろん、保存料、半加工材料、香料(バニラ以外)、植物性油脂不使用。1kg、40ユーロ。

南部アブルッツォの三つ星「レアーレ」など、多くのレストランや料理人育成も手がけるニコ・ロミートは、クラシックとチョコレートの2種類を発売。どちらもそれぞれ1500個の限定生産です。生地の元となる発酵種は自社所有の葡萄畑で収穫した葡萄から起こし、小麦粉、放し飼い鶏の卵(卵黄のみ)、ブルボンバニラ、バター、レンゲ蜂蜜、サルタナレーズン、砂糖漬けオレンジピール、さらにバターの一部をシチリア産オーガニックアーモンドから抽出した油分に替えて使用。これがフローラルな香りをもたらすと同時に、バターの分量を減らすことを可能にしています。チョコレートバージョンにはさらにチョコレートパール(丸い粒)が加えられています。保存料不使用、賞味期間は35日、55ユーロ。

再びロンバルディアに戻り、ベルガモの三つ星「ダ・ヴィットリオ」からは、クラシックタイプ。ただし、極限まで軽い口当たりに仕上げるために、材料はかなり複雑です。基本の自家培養発酵種、粉、バター、サルタナレーズン、砂糖、卵黄、砂糖漬けオレンジピール、砂糖漬けチェードロ(シトロン)、アカシア蜂蜜、バニラビーンズ、塩のほか、カカオバター、モルト、大豆レシチン、果糖、オレンジの皮を使用。さらに表面には、砂糖、卵白、コーンフラワー、米でんぷん、アーモンド、ヘーゼルナッツ、マルトデキストリン、塩で作るアイシング。このアイシングをかけるのは、ヴェネツィアスタイルともブレーシャスタイルとも呼ばれています。賞味期間は45日、1kg、42ユーロ。

もう一つ、一年中パネットーネやパネットーネに近い“フォカッチャ”をオンラインで販売しているヴェネトの三つ星「レ・カランドレ」からは、5種類のパネットーネが登場。毎年、趣向を凝らした変わりパネットーネを発表するのですが、今年もクラシックタイプはなく、ユニークなものばかりが揃いました。トピックスは、「イル・ヴェルディ」。エクストラヴァージンオリーブオイルを使い、ピスタチオ、グリーンレモン、砂糖漬けレモンピール、マラスカチェリーで薄いグリーンに仕上げています。しかも、食卓の主役にしてほしいと2kgまたは3kgのビッグサイズでの提供。値段は100ユーロと150ユーロ。

そのほかの4種類は、バターと焦がし小麦粉、プラムオイル、コーヒーパウダー、黒胡椒、砂糖漬けオレンジピールの「TOSTO」(750g、35ユーロ)、エクストラヴァージンオリーブオイル、砂糖漬けオレンジピール、砂糖漬けチェードロの「ARLECCHINO」(750g、35ユーロ)、バターとヘーゼルナッツプラリネ、マラスカチェリー、コーヒーパウダーの「MARRAKECH」(クリーム別添え、750g、40ユーロ)、バター、マラスカチェリー、チョコレートチップの「MORO DI VENEZIA」(クリーム別添え、750g、40ユーロ)。どれもこれもシェフ、マッシミリアーノ・アライモの遊び心溢れるラインナップです。

以上、いくつかご紹介しましたが、まだまだ多くのシェフが、クリエイティビティ溢れるパネットーネを世に送り出しています。大人数で集まることはできない今年ですが、いろんなパネットーネで彩りを添えたいという気持ちが伺えますね。