イタリアのパネットーネシーズン始動 北イタリアから星付きリストランテ、パネットーネメーカーの新作情報到着

10月に入り、パネットーネの予約販売の案内が各地から届く時期になりました。かつては予約のみで、実際にパネットーネが届くのは11月終わり以降というのが一般的でしたが、昨今のパネットーネ・ブームと、パンデミックの影響による巣篭もり需要もあり、予約だけでなく今すぐ手元に欲しいというニーズに答えるところが増えています。

 

オンラインショップでいち早く販売開始を発表したのは、ピエモンテ州のミシュラン二つ星レストラン「ヴィッラ・クレスピ」などを展開するアントニオ・カンナヴァッチュオロのラボラトリー。カンパーニア出身で、「ラクア」(水)という名のリゾートホテルも経営しているカンナヴァッチュオロらしく、ボックスは鮮やかなブルーとカラフルな色使いが印象的。

今回販売するのはミラノ風のクラシック、リモンチェッロ、洋梨とチョコレートの3タイプです。リモンチェッロは故郷の南イタリアへのオマージュで、シロップ煮にしたレモンのペーストを生地に練り込み、ソレント産リモンチェッロ、レモン果汁、レモンのエッセンスオイルで風味づけたクリームを注入、表面はレモンのエッセンスオイルを加えたホワイトチョコレートでコーティングし、レモンピールを散らしています。

洋梨とチョコレートは、すでに第二のクラシックとも言えるほど、イタリアでは人気のある組み合わせです。生地そのものをチョコレート色に仕上げるバージョンもありますが、カンナヴァッチュオロのものは生地に細かく砕いたミルクチョコレートを混ぜ込む方式。その他、洋梨のシロップ煮、オレンジ・レモン・マンダリンのシロップ煮ペーストを加えて焼き上げ、表面にミルクチョコレート、アーモンドパウダー、ヘーゼルナッツパウダーを混ぜ込んだアイシングがかかっています。

今回はさらに新作として、りんごのシロップ煮パネットーネも限定販売。紙のボックスではなく缶入りというのも、ギフトとして、あるいはコレクターにとっても興味のあるところです。

 

同じ北イタリアでも東側のヴェネト州からは、1972年創業の菓子メーカー「フィリッピ」の新作情報が到着。さまざまなフレーバーのパネットーネ、パンドーロ、そしてリンゴットと呼ぶローフ型の発酵菓子を手がける他、エクストラ・ヴァージン・オリーブオイルを油脂として使った「ドルチェ・ディ・ナターレ」と呼ぶタイプも(国が定める規定よりもバター使用量が少ないとパネットーネと呼ぶことができないため)作っています。

2021年の新作は、ピスタチオ、そして全粒粉のパネットーネ。ピスタチオはピスタチオ100%のペーストと、トーストしたピスタチオのみを使用。“ピスタチオ・イン・プレッツァ”(純ピスタチオ)と名付けられた通り、ピスタチオそのものの風味を重視した仕立てです。一方、全粒粉のパネットーネは、従来のレシピでは発酵そのものがうまくいかないため、レシピを大幅に見直してたどり着いた新しい生地。森のベリーとミルクチョコレートをフレーバーに取り入れています。

 

これからも続々と2021年バージョンのパネットーネ情報が公開されていきます。まだまだ日本に輸入されるものは限られていますが、パネットーネ人気に押されてその数、種類は増えていくでしょう。