日本は桜、イタリアはコロンバが春の象徴。復活祭が近づくといよいよ春本番です。毎年日にちが変わるのですが(それも3月中旬から4月中旬まで年によってさまざま)、それでも復活祭=春なのです。今年は4月17日と遅め。そのぶん、コロンバを長く楽しめますし、作り手も工夫を凝らして色々なタイプを発表しています。それでも一番人気があるのはオレンジピールのみのクラシックタイプ。表面にアーモンドとグラネッラ・ディ・ズッケロと呼ばれる粒状の砂糖があしらわれています。
ローマのテルミニ駅やミラノの中央駅にカンパーニア州出身の4人の女性が営むカフェ・パスティッチェリア「ミニョン」があります。そこの人気菓子はスフォリアテッラなどのいわゆるナポリ菓子ですが、このほど予約制でコロンバも新規発売。伝統的でシンプルな製法に則っていることの証として、レシピも公開しました。パネットーネと同じ生地を使うため、リエヴィト・マードレ(自家培養発酵種)を事前に仕込む必要がありますが、あとは丁寧に一つ一つの工程をたどるだけ、とパスティッチエレのアレッサンドラ・イアズィエッロさん。そのレシピをご紹介します。(1kgのコロンバ1個分)
プリモ・インパスト(第一生地)
リエヴィト・マードレ 60g
小麦粉(w370〜390) 175g
水 66g
グラニュー糖 55g
卵黄 44g
無塩バター 90g
*リエヴィト・マードレはリフレッシュメントし、発酵力を完全に整えておく。
*材料を計り、リエヴィト・マードレとバター以外の材料は冷蔵庫で冷やす。
*バターは柔らかくしておく。
(注:小麦粉のwとは強度を表す。370〜390はマニトバより若干弱い程度)
18時30分にプリモ・インパストの仕込みを始める。ミキサーにリエヴィト・マードレ、小麦粉、水を入れて回す。全体が馴染み、粘りが出て紐のような伸びが出てきたら、卵黄と砂糖を半量ずつ交互に加えていく。全て馴染んだらバターを二回に分けて加える。分離しないように回数をもっと分けても良い。全体が馴染んだら目盛りつきのシリンダーや大型メジャーカップに入れ、28度で12時間〜14時間発酵させる。発酵終わりの目安は3倍に膨らむまで。(注:イタリアでは3倍というのが一般的だが、最初の分量を含まないので、実際の目盛りでは4倍量が目安。)
セコンド・インパスト(第二生地もしくは本生地)
プリモ・インパスト
小麦粉(w370〜390) 50g
グラニュー糖 45g
卵黄 45g
無塩バター 70g
柑橘ペースト 30g
アカシア蜂蜜 24g
バニラビーンズ 1g
塩 1.8g
シロップ漬けオレンジピール 220g
*バターは柔らかくしておく
*柑橘ペースト(パスタ・ディ・アグルーミ)はオレンジなどの柑橘の皮と実を砂糖とともに煮詰めてペースト状にしたもの。
早朝、発酵が完了したプリモ・インパストを1時間ほど冷蔵庫で冷やす。こうすることによって次の練りの工程で温度が上がりすぎることを防ぐことができる。冷やしたプリモ・インパストをミキサーに入れ、小麦粉を加えて数分回す。粉が馴染んで十分な粘りが出たら、グラニュー糖、卵黄を数回に分けて加え、バター、柑橘ペースト、蜂蜜、バニラビーンズ、塩を加えていく。この時、バターとその他の材料をよく混ぜてから加えるとミキシングを効率よく行うことができ、香り成分の蒸発も防ぐことができる。全体が馴染んだら、角切りにしたオレンジピールを加えて全体が均一になるまで数分回す。
練り上がった生地は20分ほど休ませてからピルラトゥーラ(全体を丸く整える作業)する。型に入れ、28度で6〜8時間発酵させる。
(注:コロンバ型を使用する場合は、棒状にした2本の生地を十字に重ねるようにして型に入れる。)
グラッサ(アイシング)
卵白 20g
グラニュー糖 55g
アーモンドパウダー 20g
ヘーゼルナッツパウダー 5g
セモリナ粉 3g
トウモロコシ粉 3g
サラダ油 8g
グラネッラ・ディ・ズッケロ(あられ糖) 適量
皮付きアーモンド 10g
グラネッラ・ディ・ズッケロと皮付きアーモンド以外の全てを混ぜわせて冷蔵庫で冷やし、使用する前に室温に戻しておく。発酵して3倍に膨らんだ生地の上にグラッサを塗り、グラネッラ・ディ・ズッケロとアーモンドを散らす。175度のオーブンで45〜50分焼く。焼きあがったら金ぐしなどを底面に平行に刺し、逆さにして10〜12時間自然に冷ます。中の温度を確認して20度ほどになっていたら、厚手のビニール袋などに入れて口をしっかりと縛る。