家庭でもコロンバはできる? ニコラ・オリヴィエリの答え

パネットーネと同じ製法のコロンバ。イタリアでも最近、家庭でのパン作りが静かなブームとなっていることから、パネットーネやコロンバに挑戦する人が増えているといいます。そこで、食の総合メディア、ガンベロ・ロッソが「オリヴィエリ1882」のオーナーで、過去に最優秀パネットーネの賞も受けているニコラ・オリヴィエリに家庭でも美味しいコロンバはできるのかインタビューをしました。その内容をダイジェストでご紹介します。

Q 美味しいパネットーネは家庭でできる?

A キッチンの機能にもよりますが、最新鋭でなくても、そこそこのものを作ることはできるでしょう。ただ、パネットーネのような“偉大な”と称される発酵菓子は普通の菓子を作るオーブンでは難しいのと、細心の注意とある程度の技術が必要。つまり、家庭でもできるけれど、満足のいく出来に到達できるかどうかは別問題です。

 

Q もっとも重要なことは?

A 発酵工程です。温度を調整し、安定させ、きちんと時間をかける。家庭のオーブンで発酵させても良いけれど、絶対に30度を超えないように。それから生地の練り込みに使うミキサーも重要です。

 

Q 材料については?

A まずリエヴィト・マードレ(自家培養発酵種)。最近は家庭で使いこなしている人も増えていますし、仕込むのもそれほど難しいものではないと思います。その次に粉。W330ほどの強く弾力性の高い粉を使います。バターは上質で香りが良いものを。バターの香りは発酵菓子の肝とも言えます。

 

Q 製法はさほど難しくなさそうですが?

A 難しくはありません。ただ、すべての工程で温度を管理しなければなりません。パスティッチェリアでも、専用のスペースと必要な時間をかけなければ上手くいかないものです。

 

Q 質を求めるには量も増やさないといけない?

A ある程度の量を作るのはプロの現場であり、家庭にそのロジックを反映させることは難しい。けれども、量が多い方が良い生地になるのは確かです。発酵や焼成においても、個数が増えれば互いに湿度を融通しあい、水分を蓄えることができます。

 

Q 混ぜ込む副素材によって生地は変える?

A 私は変えません。香りを構成する成分については調整をしたり、オレンジではなくレモンを使うこともできますが、そのほかについては変えません。全体のバランスを考えて行き過ぎないようにします。

 

家庭で作るコロンバのレシピbyニコラ・オリヴィエリ(約1.2kg)

プリモ・インパスト(第一生地)
リエヴィト・マードレ 100g
きび砂糖 90g
水 80g
小麦粉(W330) 270g
無塩バター 115g
卵黄 100g

リエヴィト・マードレは9時間ほどかけてリフレッシュメントして発酵力を安定させる。ミキサーにきび砂糖と28℃の水を入れ、粉、リエヴィト・マードレを加えて回す。グルテン網が形成されたら、バターと卵黄を加えて回す。25度に設定した焙炉で14時間ほど、3倍量になるまで発酵させる。

 

セコンド・インパスト(第二生地)
小麦粉(W330) 70g
きび砂糖 70g
アカシア蜂蜜 25g
卵黄 80g
無塩バター 170g
塩 5g
バニラビーンズ 1本
シロップ漬けオレンジピール 120g

前日に仕込んだプリモ・インパストに粉を加えて回し、グルテン網が形成されたら、きび砂糖、蜂蜜、卵黄を加えて回す。全体が滑らかになったら柔らかいバターを塩、バニラ、刻んだオレンジピールとともに加える。
生地を型に入れ、温度25〜30℃、湿度60〜65%程度で5〜6時間発酵させる。もし焙炉がなく、家庭のオーブンを利用するなら、水を入れた容器も一緒に入れる。

グラッサ(アイシング)
トーストして粉砕した木の実 50g
砂糖 30g
コーンスターチ 10g
卵白 18g

すべて混ぜ合わせて、焼く直前に表面に塗る。
180℃に温めたオーブンで55分ほど焼く(1kgのコロンバの場合)。焼きあがったらすぐに底面に平行に金串を刺し、逆さに吊るして翌日までそまま自然に冷ます。

 

バリエーションを色々と展開しているオリヴィエリ1882。*は2023年の予定リミテッド・エディション。すでにもう来年が待ち遠しいですね。
・クラッシカ(オレンジピール)
・アプリコット&塩キャラメル
・ホワイトチョコ&森のベリー
・洋梨&チョコ
・桃
・りんご、レーズン、シナモン
・桃&トンカ豆*
・3種のチョコレート(ミルク、ダーク、ホワイト)
・アマレーナチェリー
・オレンジ、マンダリン、カルダモン*
・ラズベリー&ミント*
・レモン&バニラ*
・ジャンドゥイア*
・ピンクグレープフルーツ、ホワイトチョコ、トンカ豆*
・いちご&レモン*