食の総合メディア「ガンベロ・ロッソ」が例年この時期に行っているパネットーネのランキングが今年も発表されました。ガイドブック「イタリアのパンとベーカリーPane&Panettieri d’Italia」「イタリアのピッツェリアPizzeria d’Italia」「イタリアの菓子職人と菓子店Pasticceri&Pasticcerie d’Italia」「イタリアのバールBar d’Italia」を編纂するジャーナリストたちがあらかじめリストアップした36個をブラインドテイスティング。ベスト10を決定するというものです。
リストアップされたパネットーネはすべて菓子店またはベーカリーのもの。最近は、ピッツァ職人や料理人も非常にレベルの高いイノベイティブ系のパネットーネを作っていますが、このランキングには含めず、別カテゴリーで評価をすることになっています。審査対象は、砂糖漬け柑橘とレーズンのクラシックタイプで、グリセリン脂肪酸エステル(乳化剤)不使用のもの。形状は、背の高い通称ミラノタイプ、背の低い通称ガルップタイプ(ガルップは、背の低いパネットーネで有名なピエモンテの製菓会社の名前)、その中間とさまざま。テイスティングは、表面がシンプルに十字の切り込みだけのものから始め、そのあとにアイシングを施したものへと二段階に分けて行われました。
最近のイタリアのパネットーネは、その特徴から二つに分けられます。一つはクラシック(シンプル、伝統回帰的)、もう一つはバロック(リッチ、贅沢追求的)、前者はひとことで言えば香り控えめ、生地はパンに近い感じで、後者は砂糖漬けフルーツや生地の香りが強く、ふんわりとエアリーで繊細な食感。一時期は、後者のバロックタイプが人気でしたが、最近はクラシックを好む作り手が増えていると言います。いずれにしても、指で引っ張ると(バナナの皮を剥くような感じで)生地が縦に裂けるところが、パネットーネならではの特徴です。
今年は接戦だったため、ベスト10ではなくベスト13が選出されました。
13位 Ricci モリーゼ州 ミラノタイプ 1kg30ユーロ
12位 Il Chiosco ヴェネト州 ミラノタイプ 1kg33ユーロ
11位 Grazioli ロンバルディア州 ガルップタイプ 1kg28ユーロ
10位 Casa Priolo モリーゼ州 ガルップタイプ 1kg28.50ユーロ
9位 De Vivo カンパーニア州 ガルップタイプ 1kg35ユーロ
8位 Olivieri ヴェネト州 ガルップタイプ 900g38ユーロ
7位 Gabbiano カンパーニア州 ガルップタイプ 1kg34ユーロ
6位 Andreoletti ロンバルディア州 ミラノタイプ 1kg 40ユーロ
5位 Calciano バジリカータ州 ガルップタイプ 1kg 33ユーロ
4位 Dolcemascolo ラツィオ州 ミラノタイプ 1kg30ユーロ
3位 Opera Waiting トスカーナ州 ガルップタイプ 859g30ユーロ
2位 Forno Gentile カンパーニア州 ガルップタイプ 1kg35ユーロ
1位 Tiri バジリカータ州 ガルップタイプ 1kg37ユーロ
1位となったTiriは、パネットーネ、パンドーロ、コロンバといった発酵菓子の専門店。リエヴィト・マードレ&パネットーネ・マエストロ・アカデミーの主要メンバーでもあります。このTiriをはじめ、南イタリア勢が半数以上を占めているというところから、パネットーネがいかに全国に行き渡り、そして、南イタリアの菓子職人・パン職人の情熱がパネットーネに注がれている様子が伺えますね。