イタリアでクリスマスのギフトといえばパネットーネ。お世話になった方への贈り物や招かれた食事会への手土産に重宝されます。それゆえ、そのパッケージもギフト感を全面に押し出した華やかなものが多く、イータリーやリナシェンテなどの店頭もまさに百花繚乱といった様相を呈します。カラフルなラッピング、凝ったデザインの紙製の箱、クラシックな帽子ボックス型も目を惹きますが、今年とりわけ目立つのはファッションブランドとのコラボ缶。「ドルチェ&ガッバーナ」は毎年シチリアの民族モチーフを取り入れた缶入りパネットーネをシチリアのパスティッチェリアに依頼していますが、今年は「エトロ」「モスキーノ」「ロベルト・カヴァッリ」も大々的にパネットーネ缶を売り出しています。
「エトロ」はブルーとゴールドのジャカード・モチーフをあしらった缶。パネットーネを手がけるのは同じミラノのミシュラン1つ星レストラン「アイモ・エ・ナディア」のファビオ・ピサーニ、アレッサンドロ・ネグリーニの2人のシェフです。粉はバジリカータ産、発酵は72時間。フルーツはオレンジピール、レモンピール、シトロンピール、チェリーのほか、かぼちゃも使うなどロンバルディア州らしさを表現。フルーツを漬け込むシロップの糖度は可能な限り下げたところもこだわりのポイントです。
1kg 63ユーロ
「モスキーノ」は新たにクリエイティブ・ディレクターに就任したアドリアン・アッピオラーザによる初めてのショウにちなんだ「コレクション0」がタイトル。缶には白い雲が浮かぶ青空が描かれ、底は白と黒の格子模様、上面にはモスキーノとパネットーネを手がけたミラノのパスティッチェリア「マルテサーナ」のダブルネームが記されています。マルテサーナはその名がイタリア中に知られるマエストロの1人、ヴィンチェンツォ・サントーロのパスティッチェリア。サントーロ氏はつい先ごろ、72歳でこの世を去ってしまいましたが、発酵菓子の名手として活躍しました。
同じモスキーノのスペシャル・エディション「パネットーネ・ドーロ」は、昨年に引き続きの登場。アイシングにゴールドのチョコレート、IGPピエモンテのヘーゼルナッツを使用しています。「コレクション0」には真紅のショッパー、「パネットーネ・ドーロ」には黒字にゴールドの文字が入ったショッパーも用意されています。
「コレクション0」1kg 59ユーロ 「パネットーネ・ドーロ」1kg 69ユーロ
自然や動物をデザインモチーフとした、インパクトの強いデザインで一世を風靡した「ロベルト・カヴァッリ」は、「オリヴィエリ1882」とコラボレーション。ロベルト・カヴァッリのアイコニックなモチーフ「Ray of Gold」をあしらった缶は一際強い存在感で他を圧倒します。パネットーネは、その昔、オリヴィエリがまだ小さなパン屋だった頃の製法を再現、発酵により時間をかけることで非常に柔らかなテクスチャー、独特の香りを持つスペシャルバージョンです。
1kg 65ユーロ
そのほか、「アルマーニ」はピエモンテのチョコレートメーカー「グイド・ゴビーノ」と、「グッチ」はバジリカータのパネットーネ専門パスティッチェリア「ティリ」とコラボレーションするなど、ファッションとパネットーネは切っても切れない縁になっているようです。さらに、ファッションといえば、「ヴォーグ」誌もミラノの老舗パスティッチェリアや菓子メーカーとコラボパネットーネ缶をプロデュースしています。少々値は張りますが、イタリアならではのビジュアルが楽しめるコラボ缶はギフトはもちろん、コレクションとしても手元に置いておきたいものです。