年末年始のフェスタも終わり、季節はカーニバル真っ只中のイタリア。二個で一個の値段で投げ売りされていたインダストリアルのパネットーネもすでに姿を消しましたが、実はまだ売れ残っているパネットーネがあるというのです。ベーカリーや製菓店ではせっかく作ったものでも、売れなければ廃棄、がこれまでは当たり前でした。この冬はパンデミックの影響で巣ごもり需要が高まり、例年に比べたらパネットーネの売れ残りは少ないようですが、それでも残ってしまう。そんなパネットーネを救う”Save the Panettone”というキャンペーンが始まったのです。
仕掛けているのは、Too Good To Goというデンマーク生まれのフードロス対策アプリ。バール、レストラン、ベーカリー、菓子店、スーパー、ホテルなどで売れ残った食べ物を破格の値段で購入できるという仕組みで、2015年にスタート。今やヨーロッパを中心に15カ国で運営され、2000万人以上の利用者がいます。位置情報から近隣の“売れ残り”食品を見つけ、ピックアップするというのが利用法ゆえ、ピンポイントでパネットーネを手に入れることはできませんが、このキャンペーンで運よく手に入れられた人に向けて、かたくなってしまったパネットーネを美味しく食べる方法が動画で紹介されています。その紹介者というのが、イタリアのパネットーネのマエストロといえばこの人を置いて他にはいないとされるイジニオ・マッサーリ氏と、ミラノの製菓業界の重鎮ヴィンチェンツォ・サントーロ氏。
イジニオ・マッサーリ氏の提案は、クリームと一緒に食べようというシンプルな方法二つ。
「パネットーネ・アッラ・クレーマ」は、
マスカルポーネ 250g
生クリーム 250g
砂糖 40g
コアントロー 50g
以上を混ぜ合わせ、パネットーネに添えるというもの。
「ズッポーネ・ルッソ」は、
クレーマ・パスティッチェーラ(カスタードクリーム) 500g
ダークチョコレート(カカオ64%以上) 50〜100g
ウイスキー 50g
クリームの半分はそのまま、残りの半分に湯煎で溶かしたチョコレートを加え混ぜ、ウイスキーで湿らせたパネットーネと二つのクリームを何層かに重ねます。
対して、ヴィンチェンツォ・サントーロ氏の提案は、クラブ・サンドイッチ風で、卵と牛乳を合わせたところへ1cm厚さほどにスライスしたパネットーネを浸し、バターで焼き、オーブンで表面をパリっとさせます。ストラッキーノチーズを薄く塗り、好みの具材(ハムやサラミ、チーズ、サラダ野菜など)を挟んで完成です。
クリームと合わせるというクラシックな方法はもちろん、塩味の食材とともにドルチェ&サラートをも楽しめるところがパネットーネの懐の深さです。
このSave the Panettoneキャンペーンは2月3日まで。喉を守るとされる聖ビアジオに捧げられた日であり、ミラノでは古くから、残ったパネットーネをこの日に食べると風邪を引かないと言われています。日本の節分もほぼ同じ日ですが、寒さを乗り切って元気で過ごしたいという思いは古今東西同じということでしょう。